先人たちの死、生きていく私たち

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     今年の4月に、前の職場であった自由の森学園(点数序列の教育をやめた学校、埼玉県飯能市)での先輩教師であり、芸術家であったMさんが亡くなられた。訃報を友人から聞いたときから、彼の魂の鼓動のような何かが響いて来て、今も鳴りやまない。少しずつその響きは低くなってはいるのだが。その情熱がたぐいまれであったからだろう、と確信する、教育と芸術における自由の追求において。彼は、だいたいいつも、少し怒っているように、強い語気で語る人であった。何事においても、出来合いのもので、小さな満足に安住しているのが彼の中の芸術家がゆるさなかったのだろう。しかし、やさしさとゆとりがあった。努力して、すぐ出る結果になど頓着していなかったからだろう。あんな人は、そうそういる人ではないのだ。

    訃報を聞いた夜のことだ。ぼくの机のわきに置いてある林竹二『若く美しくなったソクラテス』(田畑書店)を手に取って開くと、Mさんが、図書室の発行するミニコミ誌に寄せた、この書を勧める書評がはさまっていた。Mさんの書いた書評をはさんでおいた林竹二のソクラテス研究の書が、ぼくのすぐ手に取れるところにあったことで、このとき、Mさん、林竹二、ソクラテス、わたしの間に特別の強度を持った何ものかが生れたのだと思っている。この本は、20年くらい前の夏休みに読み、その感動を、夏休み明けにMさんに伝えると、彼もしばらく前に読んで強く共鳴したと語って、感動を共有していた本だった。林竹二を、Mさんの記憶とともに、あらためて読むということが、この春から、このようにして、ぼくに起った。ぼくは林竹二に出会ったことはないが、Mさんは林竹二と交流があり、じかに教わった経験がある。Mさんも林竹二も亡くなったが、二人の著書は、今、ぼくの中で交響する場を持って生きている。

     

    Mさんには美術教育論集『ピカソの手』という著書がある。彼は中学校の生徒を相手に絵画の授業をやっていたのだが、その区切りごとに書いた絵画の方法論=絵画の冒険へのデッサンのような文章が集めてある。この書の特異なところは、美術の分野への過剰なまでの哲学や文学の介入・交差にあると思う。そして、そのことがこの書をたぐいまれなものにしている。この本も、今ぼくは少しずつ読み続けている。彼がこの本をのこしておいてくれて本当に良かったと思う。                        

     

    一人の先輩の死が、人間の書き残した本を読み継ぐ情念に点火してくれたのだと思います。この数年のあいだに、ぼくにとって、特別な先人が亡くなりました。この先人たちの死と、そして遺された作品とどのように向き合うか、はっきりしないままに月日をすごしていたのです。Mさんと林竹二の著書を読むことと、並行するように、ぼくは、もう一度、この先人たちの仕事を今読み返していくことを始めました。この先人とは、2007年に亡くなった小田実、2008年に亡くなった加藤周一、そして2012年に亡くなった吉本隆明です。                      (日月堂 上野文康)



    今日は ふうわりファーム のお野菜の日

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      本日はふうわりファームさんのお野菜を日月堂にて販売しています。
      今日はどんな野菜がくるのでしょうか。
      今の時期は夏から次の季節へ畑の内容もかわっていくようです。
      無農薬、有機野菜、味も濃厚でとっても美味しいです。
      ぜひお野菜だけの来店でもお立ち寄りください。
      現在は毎週月曜日と金曜日にお野菜を置いてもらっています。
      お楽しみに。

      New! いちじく&アーモンドブレッド 秋の新しいパンメニュー

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        しばらく晴れ間の天気から曇り空が続く夏の終盤です。
        夏の間はパンがあまり多くは出ていきません。
        自分でさえもなかなかパンに手が出し辛いのが夏の日々です(笑)。
        そして天然酵母の場合、手作りではないイーストに比べて
        夏の間の酵母の状態を保つのにしばし苦労することになります。
        発酵の状態も一年でもっとも気を使うのが高温多湿の夏の時期に思います。
        日月堂のパンには動物性、乳製品や卵、砂糖などは一切使用していないため、
        より品質の状態に気をつかいます。
        多くの素晴らしいパン屋さんが夏でも素晴らしいパンを焼く事にいたく感動します。
        なかでも同じように自然の木を薪に使用しているパン焼き屋さんにはより一層な思いです。

        さて、秋に向けて新しいパンのラインナップが登場しました。
        いちじく&アーモンドブレッド。
        二種類のいちじくがたっぷり使われています。
        アーモンドの食感と香ばしさも頼もしい存在です。


        <原材料>
        北海道産のキタノカオリ
        岩手県産ナンブ小麦全粒粉
        ライ麦全粒粉
        天然酵母(レーズン種)


        420g    
        Whole ホール 700円
        Half    ハーフ   350円

        是非来店の際はご試食もしてみてください。


        自然の「木」の力を用いてパンを焼く理由 1

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          ときおり見え始めました秋の空ですが、
          まだもう少し秋までは時間があるようです。
          最近は色々な方達と出会います。
          野菜や田んぼを自然農という方法で取り組む方々。
          ただ組み立てるだけのプレカットの家ではなく、
          有機的な木材の使い方に人生を掛けて大工として生きている方々。
          電気やガスに頼らず、自然の木を燃やしてパンを焼くことが最も良い方法として
          取り組んでおられる方々。
          いずれにしても自然の土壌から、自然との関係を自ずからという形で
          現在の仕事を永続可能なモノをつくる仕事として取り組んでおられる方達です。
          またそれがその人にとって最もしっくりくる好きな仕事のやり方なのだと思います。
          すべてのものは一つだという想い方が、ぼくは好きです。
          自然や人を含めたあらゆるお互いの関係を感じて生きて行きたいと切実に思います。
          頭でっかちになってはいけないのだと思います。
          それでは何も本当には気づけないからです。
          必ず痛みを感じるときがくるはずです。
          その時が気づきの始まりなのだと僕は思います。

          先陣を歩む多くの方々が昔から現在、そしてこの先もおられることでしょう。
          そのような方々を僕は友達と思いたい。
          会う事がなくとも、世界中にいるそのような友達が増えていったら幸せです。

          二日間窯の中でかわかした大地の木で今日も素朴ーなパンを焼きます。
          今日はどんな焼き上がりになるのだろう。自然なパンになってくれるはずです。
          楽しみです。

          上野雄志

          ナンブ全粒粉小麦3割、キタノカオリ7割。レーズン酵母。塩。水。










          ドキュメンタリー映画『川口由一の自然農というしあわせ』のこと

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             日月堂通信 その1 2013年8月27日

             

            ドキュメンタリー映画『川口由一の自然農というしあわせ』のこと

             

            充実した生を生きていますか? 

            自然から遠く離れていった近代という時代

            とその中で生きている私たち

            に強く問いかける人とその言葉が、ここにはある。

             

            僕にはめずらしく三夜つづけて映画を観ました。ナマケモノDVDシリーズ三作で、ディープエコロジーの実践者三人を撮った作品です。この秋、Cafe日月堂で上映するための下見として見ているのですが、今回はそのシリーズの一つ「川口由一の自然農というしあわせ with 辻信一」について。

            ナマケモノDVDシリーズは「スロー」というコンセプトを軸に環境=文化運動を進めるNGO「ナマケモノ倶楽部」の作品ですが、このナマケモノ倶楽部というなまえは、中南米の森に棲むナマケモノという動物の、低エネ、循環型、共生、非暴力の生き方にこそ持続可能な社会や暮らしのヒントがあるとして、つけられたそうです。エコノミックアニマルという日本人に対してつけられた汚名の対極にある名前です。ナマケモノ倶楽部は、生態系保全、環境共生型ライフスタイルへの転換、「スロービジネス」の創造という3分野で、怠けているとは到底思えないダイナミックな活動を展開しているのですが。

            この映画が映し出すのは、自然農という世界ですが、自然農のことは、今ぼくらはほとんど知らないのではないかと思います。今の農業にいろいろ問題があることは知っていて、野菜の安全性のことで言えば、有機農業の方がいい、でもそれって手間がかかってたいへんなんだよね・・・。そんなところが今の時代の平均値です。自然農は異文化の世界です。耕さない田んぼ、耕さない畑、それは自然に沿い、自然に応じ、自然に任せる農の世界、いのちに沿い、いのちに応じ、いのちに任せることで、一つ一つのいのちが充実する世界。目先の収量に支配されることなく、いのちを育むよろこびに生き方をシフトすること。

            今の時代の常識にまみれ、今の農業の常識的イメージに毒されているぼくたちと、川口由一さんが立っている自然農の世界は、あまりにかけ離れています。だから、何度もくりかえし見ること、読むことが、今のぼくたちには必要なのだと思うのです。なぜって? 今の農業の常識には未来への希望がないからです。そして、川口さんの自然農の世界からは、未来への希望が感じられるからです。

             川口由一と自然農の世界を描いたこの作品によって、農の世界だけでなく、今の社会、世界の全体の在り方を考えることができる場をつくりだしたことが重要だと思います。10月下旬の上映を考えています。 (日月堂  上野文康)


            清流青空マーケットに

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              少しずつ夏の真っ只中から秋へ近づいて行く空気が感じられるようになってきました。
              それでもまだまだ暑い日は続きそうですが。

              本日は幸運なことに たねの森さん主催の清流青空マーケットへ出掛ける事ができました。
              これは大変に嬉しい事です。
              実際は父親に出掛けてもらったのですが、そして不器用にパンの販売までさせてもらって。
              大変に素敵なマーケット(市場)と以前よりお話を聞いており、
              いつか参加させてもらって、色々な方々と出会ってみたい、そんな思いで一杯です。

              夏が変わってきた、実際に季節や気温が大変に変わって来ていると思います。
              そう感じる事が何の違和感をも持たないのだから、大変な事だと思います。
              どうか少しでも、少しずつでも間違った事をしたくはありません。
              自然を見つめる事を進めて行きたいです。

              本日も不安定な天候のなか日月堂へ来てくださった方々、ありがとうございました。
              清流マーケットでお世話になった方々にも有り難い気持ちです。
              明日は一日薪作りに励みます。
              パンを焼くにも、ピザを焼くにも、冬を乗り切るのも薪(木)から始まります。
              それでは。



              季節を通してのヨガ、アロマテラピーの紹介。

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                本日より夏期休暇を終え、夏のカフェ日月堂がはじまりました。
                大変暑い日にも関わらず、
                カフェやパンの購入を目的として時間をかけて、
                遠くからも来て頂きありがとうございます。

                季節が変わって行く中で、人の過ごす時間も様々です。
                日月堂では一年を通して、ヨガ、アロマテラピー講座を授けてあります。
                多くの方々に、その季節に合った身体との出会いを、
                また日々の平和な身体を含む心の安らぎを充実してもらえたら幸いです。

                ここ日月堂でお会い出来ることを楽しみにしています。

                講座

                • ヨガ教室

                  ■ 日時:毎週金曜日 10:00〜11:15
                  ■ 料金:¥1,500+1ドリンクオーダー
                  ■ 担当:吉原 千寿(ヨシハラ チズ)
                  カラダが硬くても大丈夫! どなたでも楽しめます。
                  高麗の大自然をいっぱいに味わいながら呼吸を深め、気持ち良くヨガしませんか?

                  詳細を見る


                • アロマテラピー教室

                  ■ 日時:5/30(木)10:30〜12:00/12:30〜14:00
                  ■ 担当:小嶋 香穂梨
                  アロマテラピーをより安全に生活に取り入れ、自分や自分のまわりの人の身体や心をサポートすることが出来たら良いのに・・・そんな気持ちから生まれた講座です。精油の香りを楽しみながら、植物の特徴や効能を学んでいきます。

                  詳細を見る



                名栗 棒の峰へ

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                  先日は棒の峰へ出掛けました。

                  名栗湖から峰へ入り沢歩きを楽しみました。

                  日月堂の中壁を塗った若い左官職人の斎賀さんと自分と奥さんの三人の沢歩きです。


                  車をつかって少しの場所にこの様なところがあるなど、話ではよく聞いていた沢ですが、

                  歩くと大変に気持ちの良いところです。


                  むかし一人でよくジムニーという古い小さな水色のジープで

                  名栗湖より更に山奥へ入った山道で遊んでいたことがあります。

                  とても面白く楽しんだ記憶がありました。

                  途中ふと顔を横にすると、

                  空いたジープの窓から1メートルほどのところに鹿がいて爽やかに目が合ったり、

                  猿の群れに出会ったりした記憶があります。

                  しかし棒の峰の入り口には何度も通り過ぎるだけで、沢を散歩したことはありませんでした。


                  夏の休業の間に、最後の数日になってようやく棒の峰の沢へ出掛ける事ができました。

                  毎週くらいに散歩に出掛けたい綺麗な沢です。



                  フェアトレード カフェティモール の紹介、コーヒー豆の販売を始めました。

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                    大変ご無沙汰しております。
                    カフェ日月堂では新フェアトレード商品、
                    東ティモールのコーヒー豆の販売をしております。
                    優しい円やかな味わいが楽しめる、ほっと出来る東ティモールのコーヒーです。
                    購入する側と生産現地の方々の関係をすこしでも築けることが出来たら幸いです。


                    カフェではテラスから店内中央の入り口に置いてあります。

                    PARC NPO法人アジア太平洋資料センター

                    アジア太平洋資料センター PARCさんのホームページにて
                    東ティモール コーヒー豆の詳細を見て読む事が出来ます。
                    ご利用ください。


                    カフェ日月堂は8月5日(月)までお休みを頂いております。
                    8日(木)より平常通り営業いたします。 
                    よろしくお願いします。


                    カフェ・ティモール

                    カフェ・ティモール

                    東ティモールのアイナロ県マウベシ郡は標高が高く、1200〜1500メートルの山間部に位置し、日中の陽射しの強さに比べて朝晩の冷え込みが激しい地域です。年間降雨量も比較的多く、おいしいコーヒーが育つ条件に恵まれています。

                    マウベシで広範囲にコーヒー栽培が始まったのは1960年ごろからと比較的新しく、 大規模農園ではなく、平均1ヘクタールあまりの小規模栽培が主です。このマウベシ地域に「マウベシ農業協同組合」略称コカマウ(COCAMAU)が組織され、カフェ・ティモールのコーヒー豆は栽培されています。

                    2007年に有機JAS認証を取得した、無農薬・有機栽培(オーガニック)のコーヒーです。

                    カフェ・ティモールを知る


                    7月25日(木)〜8月5 日(月)夏期臨時休業のお知らせ。

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                      夏期臨時休業のお知らせ


                      日頃大変お世話になっております。


                       7月25日(木)〜8月5 日(月)


                      この期間、臨時休業頂きます。

                      定休日は通常どおり 火曜日水曜日 となります。

                      ご不明な点がございましたらお気軽にお電話、又はE-Mailにご連絡ください。

                      ご迷惑を御かけしますが何卒ご了承ください。


                      Cafe 日月堂



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